アメリカの音楽プロデューサー、ライアン・クロス氏は2か月前に「新たなインスピレーションの源」を求めて台湾からダナンに拠点を移し、すぐにこの街に惹かれた。
「食べ物は多様で、生活費はこれまで住んできたほとんどの場所よりも安い」と14年間ノマドワーカーとして暮らしている32歳の彼はいう。
わずか1ドル強（約150円）で、フォー（米粉でできたベトナムの麺料理）やバインミーなどの朝食を食べることができる。
毎日新しいレストランを探しては試しているが、「ダナンにはいつも素晴らしい食事ができる場所がたくさんある」と言う。
アメリカでヘアカットをすると平均費用が28ドル（約４,200円）掛かるが、ダナンでは2ドル（300円）ほどである。
最近では多くのノマドワーカーがダナンに移り住み、生活費の安さと美しい景色がある理想の場所であるという。
出版業界で働くエジプト人、アハメド・アブド・アルハレク氏は昨年7月にスエズからダナンに来た。
ベトナムにはノマドワーカーに対する優遇ビザ政策はないが、ベトナムでの生活の余裕はあると彼は言う。一方、ドバイのようなノマドワーカー向けのビザ政策がある場所を選べば「破産するかもしれない」という。
ノマドワーカーのコミュニティ向けコンサルティングサイト「Freaking Nomads」によると、ダナンはノマドワーカーが選ぶトップ10の都市に選ばれている。
ノマドワーカーの間で人気のデータベース「2023 Nomad List」では、ダナンは最も急速に人気急上昇中のリモートワークの拠点として、東京に次いで2位にランクされた。
ダナン在住のアメリカ人映画製作者ケイ氏は「私たちのような人間にとって、ダナンが住みやすい街だというのは驚くに当たらない」という。
市内では英語が通じ、日常のコミュニケーションに不便はほとんどなく、地元の人たちの親しみやすさケイ氏が長く滞在する要因となっているようだ。
「地元で悪い体験をしたことが一度もない」と語った。
彼にとってダナンは第二の家である。
中心街にある2ベッドルームの部屋を月額1400万ベトナムドン（約83,000円）で借りているが、ベトナム最大の都市の一つであることを考えるとそれほど高くないと彼は言う。
ケイ氏の友人の多くも立地が良く家具も備わっている安い部屋を借りている。
2020年からダナンに住み、五行山（マーブルマウンテン）の近くでコワーキングスペースを運営しているオランダ人のアントン・ヴェルクーイエン氏は、ノマドワーカーのコミュニティにはまだ知られていない新しい場所であり、他の都市比べても家賃相場に影響を与えるほど多くのノマドワーカーの数は多くないと言う。
クロス氏自身は、自分が地域コミュニティの一員であると感じている。馴染みの店の前を通ると店員が手を振ってくれ、家から5分の路地を通るとそこにいた人たちが立ち止まって話しかけてくるので、結局30分以上かかってしまうこともあるという。
しかし、デジタルノマドワーカーたちはダナンでの生活の不便さについても不満を漏らしている。
クロス氏が音楽を録音しようとすると、近所の人がカラオケを大音量で鳴らしたり、犬が吠えたりすることがあると話す。
ケイ氏にとって、ダナンは仕事場とノマドワーカーのコミュニティとのつながりが不足していることを除けばすべてが良好だと述べた。
しかし、ほとんどの人にとってベトナムでの最大の問題は、ノマドワーカーのビザ政策がないことであり、彼らは観光ビザで滞在する他ないのである。
そのため、90日ごとに国外に一度出国してビザを再申請する必要があり、非常に手間と時間が掛かる。
また、短期滞在の家賃は通常より 30 ～ 40% 高いことが多いこともあり、宿泊施設を見つけるのも困難という。さらに、立地や設備が充実した物件ではオーナーが短期滞在の賃貸を拒否しているケースもある。
業界関係者によると、ノマドワーカーの数は急速に増加すると予想されており、ベトナムは近隣諸国に倣って、彼らを誘致するためにより長く滞在できるビザを提供するべきだと述べている。
タイ、インドネシア、日本、韓国など多くのアジア諸国は、最長10年間滞在するノマドワーカーを対象とした特別なビザ政策を導入している。
【翻訳編集：Kaisei World】
原文：VnExpress/ Low cost of living makes Da Nang favorite destination for digital nomads/ By Tu Nguyen August 13, 2024 | 01:51 pm GMT+7
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